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2013年 第4回総会・学会大会の報告
2013年11月16日、明治大学駿河台校舎において「日本ことわざ文化学会」第4回総会・学会大会が開催されました。
【総会】
2012年度の活動報告および決算報告の後、2013年度の活動計画および予算案、新理事等の承認が得られました。
【学会大会】
1.【研究発表】(座長:山口政信)
①ことわざに見る身体教育の未来像-生死観と身体-
発表者:釜崎太
体力測定や健康診断で良い評価を受けても、人生を前向きに生きる保障にはならないとして、学校教育における体育の課題が提示され、日本の教育スローガンで ある「生きる力」について、身体と心の両面からの教育を考えるという試みがなされました。ことわざの中に、児童・生徒の身体と心をつなぎ、「生きる力」を 育む教育のヒントがありました。
②海を渡ったことわざ画-河鍋暁斎《狂斎百図》のヨーロッパへの伝播-
発表者:小林優
河鍋暁斎の《狂斎百図》が明治時代に、日本からヨーロッパに渡った経緯が紹介されました。その過程における構図変更の推移を解説する場面では、色鮮やかな 図像の数々が映し出され、参加者の関心を集める発表となりました。日本のことわざ文化がどのように海外に伝播していったかが詳しく解説されました。
③日本語教育におけることわざ教育について…日本語学的なことを中心に…
発表者:清水泰生
外国人向けの日本語教育において、ことわざは扱われることが少ないのは、実用的な語法を限られた時間内に教える必要があるからです、との前置きがありまし た。この現状を踏まえてなお、ことわざの文型やレトリックは外国人が日本語を習得する上でも教育的価値のあるものとして、今後の日本語教育へのことわざ学 習の可能性が示唆されました。
2.【シンポジウム】(司会:川島洋) テーマ:「郷土とことわざ」パネリスト■穴田義孝:郷土のことわざ再発見-ことわざ社会心理学の視点から-■大田朋子:新潟のことわざ あれこれ-県民気質と気象から-■中丸武夫:“ことわざ”は人生の導き■山口幸男:日本の“郷土かるた”とことわざ
「ことわざ辞典」等に載っていることわざは、全国の人々が共通認識を持つことのできる、いわゆる全国区のことわざです。これ に対して、辞典などには載っていない「地方のことわざ」や「郷土のことわざ」があると穴田義孝氏は言います。かつての藩や小さな河川流域などの地区、ムラ や部落といった生活圏や生活共同体で、口頭伝承されてきた地域独特のことわざです。
【懇親会】
中村会員の指導による「笑いヨガ」を堪能するなど、いつもながらの賑やかさのうちに、予定の2時間は瞬く間に過ぎました。三々五々家路につく人や二次会に繰り出す人を見て、ことわざという輪の中にいることの幸せを感じました。―以上―